
ビルに停めて、屋上から滑り出す
川場は、一日が立体駐車場から始まる国内唯一のスキー場かもしれません。下層階が駐車場になった8階建てのベースビル、カワバCITYに車で入り、エスカレーターでレンタルショップやカフェテリアを通り過ぎ、最上階から雪の上へ。関東平野がみぞれの朝には反則みたいに感じますが、誰も文句は言いません。
そこから先は山の出番。リフトは1,870mまで上がり、東京から日帰りできるスキー場では指折りの高さ。その標高は雪に表れていて、群馬のほとんどより乾いて冷たく、山頂からは3km以上のクルージングが楽しめます。上級コースは4本、最大斜度は無名峰トライアルの34度。ゲート付きのオフピステゾーン5つは、登録して安全動画を見てビーコンを持てば誰にでもパウダーを開放してくれます。
難点は、秘密がとっくにバレていること。川場は沼田ICからいちばん近いスキー場なので、土曜の朝は東京からの車がひっきりなしにやってきて、吹きさらしの山頂のせいで風による運休も日常茶飯事。リフト券は群馬では高いほうで、山の上に泊まる場所はありません。このレビューでは、いつ行くか、どのリフトに乗るか、オフピステゾーンへの入り方を紹介するので、川場を週末の一撃にするか、群馬旅の軸にするかを決めてください。
スキー場データ
主要スキー場の推定累計降雪量です。実際の数値はスキー場、標高、観測地点、シーズンによって大きく異なります。
- 標高差620m(1870m → 1250m)
- 降雪量約9m
- コース比率 30% 45% 25%
- ツリーラン
- リフト券¥7,900
- リフトクワッド3基、トリプル1基、ペア1基
- 混雑度
- コース外滑走パトロールにリフト券を没収されることあり
- ナイター
- 家族向け
- コース数11
- 滑走エリア約120ha
- 雰囲気きれいなカービング、隠れたパウダー、楽なアクセス
コースマップ
宿泊施設
地図で見るスキー場に宿泊施設はないので、毎朝の短いドライブを計画に入れましょう。いい点は、スキー場のすぐ下の川場村が群馬でも指折りの美しい田舎の拠点だということ。川場温泉のYutorianはごほうびの宿で、茅葺き屋根の温泉宿の客室には囲炉裏と専用露天風呂があり、高アルカリの湯は肌にやさしい。沼田ICから約15分、リフトへの上りも楽な運転です。
予算と柔軟性なら、沼田のビジネスホテルが実用的。コンビニ、遅いチェックイン、コインランドリーがあり、ベースまでは車で30〜40分。宝台樹、たんばらスキーパーク、片品のスキー場にも行きやすいので、山を日替わりで回るなら重要です。
川場村や片品へ向かう道沿いのペンションや民宿は、手作りの夕食と道具を乾かす場所がある中間の選択肢。1月と2月の週末は早めに予約を。ナイトライフはほぼなく、ほとんどの人は9時には寝ています。
パウダーとコース
川場の最強のカードは雪です。ベースは関東のほとんどのゲレンデよりずっと高く、トップは1,870mに達するので、近くの低いゲレンデが湿った雪に悩まされる真冬でも、乾いた軽い雪が降るだけの寒さが保たれます。新潟ほどの降雪量ではありませんが、山脈を越えてくる雪雲はここに本当に軽い雪を届け、その合間は圧雪チームがコーデュロイを最高の状態に保ってくれます。
リフトは5基でわかりやすい構成。クリスタルエクスプレスと桜川エクスプレスが下部を担当し、白鳥エクスプレスでさらに上へ、そこから無名峰トリプルと高手ペアが上部へ上がります。おいしいところはその最上部に。無名峰トライアルが急斜面担当、高手スカイラインは斜度を保ったまま続く1.35kmの上級コース、白鳥スカイラインは長くうねる中級コースです。初級のクリスタルコースは下部を2kmにわたって蛇行するので、初心者もしっかり距離を稼げます。
パウダー好きがここに来る本当の理由は「Off the Piste」。登録したライダーだけが入れる、ゲート付きの非圧雪ゾーンが5つあります。来る前にスキー場の講習動画を見て、カワバCITY7階の山岳カウンターで受付、同意書にサインし、ココヘリ(遭難者捜索用ビーコン)を¥1,100でレンタルして腕章を受け取ります。あとは指定のゲートからだけ入ること。赤いロープをくぐると、リフト券も登録も没収です。降雪日の朝は、手続きを前日の午後か朝イチに済ませ、ゾーンがまだフレッシュなうちにまっすぐ山の上へ。
川場はフリーライドにも力を入れていて、フリーライド・ワールドツアー認定のエリアは最近拡張されました。一般のリフトが動く前に少人数グループを雪の上へ連れていく雪上車のファーストトラックサービスも。五輪スノーボーダー岩渕麗楽がプロデュースした新しいテレインパークが、コブコースやいくつかのテーマパークに加わり、フリースタイル勢も満足できます。
混雑のパターンはシンプル。平日は穏やかでパウダーも長持ち。土曜は東京からの車が着く午前中から混み始めるので、始発リフトに乗り、10:30ごろまで上部を滑って、山頂のリフトに列ができ始めたら下部のコースへ。風が強まると真っ先に止まるのは上部のリフトで、そんな日は下部がリゾートのすべてになるので、出発前にリフト運行状況を確認しましょう。
アクセス
川場は関越道の沼田ICからいちばん近いスキー場で、高崎から約50分、普段の交通量なら都内の練馬から約2時間半。村からの最後の上りは曲がりくねった坂なので、スタッドレスタイヤは必須、吹雪ならチェーンもあると賢明です。レンタカー窓口で何を頼むべきかは冬のレンタカー&運転ガイドで。
カワバCITYの屋内駐車場はレギュラーシーズンの土日祝が¥1,500、第1屋外駐車場は¥1,000で、第2〜第5駐車場は無料、シャトルで結ばれています。平日の駐車は無料。村の道の駅、田園プラザ川場のサテライト駐車場からも無料シャトルが出ていて、混雑日に助かります。
車がなければ、上越新幹線で上毛高原へ。スキー場のシャトルが8:00に出て16:00に戻ります。上越線で沼田まで行けば9:00のシャトルも。どちらも事前予約制で、乗り逃したらタクシーでつなぎましょう。都心からの日帰りバスツアーも手軽な選択肢で、昼前に着きます。
どんな人に向いている?
- 初めての人良い
- パウダー狙い良い
- 滑らない人いまひとつ
- 予算重視まずまず
- アクセスのしやすさまずまず
- 脚のある中級者と上級者:東京から日帰りで、本物の標高差、急な圧雪コース、トップから麓までのロングランが欲しい人。標高差重視なら標高差とロングコースが自慢のスキー場と比べてみてください。
- 手続きをいとわないパウダーライダー:ゲート付きの「Off the Piste」ゾーンのために。
- パーク&フリースタイル勢:いくつものパークに加え、岩渕プロデュースの新パークも。
- 東京からの週末戦士:まっすぐ乗り付けて、屋内に停めて、すぐ滑りたい人。
家族連れも楽しめます。下部には長くゆるやかなコースと小さな子ども向けのスノーエスカレーターエリアがありますが、ベースは大きくにぎやかなビルで、山の上に宿はありません。静かな家族の週末なら、谷を上った片品高原か尾瀬戸倉のほうが楽。スキー場の外を目指すバックカントリー純粋派は谷川岳を検討しましょう。
グルメとアフタースキー
カワバCITYにはレストラン、レンタル、更衣室がひとつ屋根の下にそろっているので、ランチも早く、スキーブーツで駐車場をドタドタ歩く必要もありません。ラーメンやカツカレーから丼ものまで、ゲレンデ飯はフルラインナップ。週末のランチは正午がピークなので、11時か、1時過ぎに食べましょう。
アフタースキーは麓の村で。田園プラザ川場は全国でも指折りの有名な道の駅で、クラフトビールの醸造所、パン屋、地元のヨーグルトや乳製品がそろい、帰り道の最後の立ち寄り先にぴったりです。そのあとは川場温泉か沼田周辺の日帰り温泉へ。盛大な夜遊びは東京に取っておきましょう。
Japow Travelのアドバイス
- 営業時間:土日祝8:00〜16:00、平日8:30〜16:00。ナイターはありません。
- リフト券:川場は群馬のほとんどのゲレンデより高めで、繁忙期の土曜は特定日料金になります。オンライン購入なら列に並ばずに済み、群馬のPOWDER5パスなら川場、宝台樹、丸沼高原、尾瀬岩鞍、オグナほたかを共通の時間券で滑れます。ここのシニア料金は50歳以上なので、うれしい驚きを感じる人もいるはず。
- Off the Piste:来る前に講習動画を見ておきましょう。ビーコンのレンタルと登録は7階のカウンターで、腕章は見える位置に。
- 風:山頂は吹きさらしで、上部リフトの風による運休はよくあります。朝、出発を決める前にリフト運行状況を確認しましょう。
- スノーボードとスキーのみ:春の指定期間以外は、スノースケート、スキーバイク、そりはリフトに乗せられません。そり遊びはファーストステップエリアで。
- 組み合わせるなら:ロングクルージングなら宝台樹、急斜面なら尾瀬岩鞍、標高と春スキーなら丸沼高原、パークなら尾瀬戸倉、スキーヤー専用の家族の一日なら片品高原。
総評:東京からの高標高・週末パウダー補給
川場は、街のビルの便利さと本物の山の地形を兼ね備えています。屋内駐車場とエスカレーターであっという間に雪の上へ、1,870mのトップが雪を乾いたまま保ち、ゲート付きのオフピステゾーンがパウダーライダーにおいしいところへの合法的な入口を用意してくれます。週末は混み、風も口を出してくるので、できれば平日に。いずれにしても、群馬のこの一角でいちばん総合力の高いリゾートです。
