
リフト2基、スノーボーダーゼロ
蔵王猿倉は、十のことをそこそこやるより一つのことを上手にやると決めたゲレンデです。リフト2基、コース5本、そしてスノーボードはきっぱりお断り。火山の上山側、山形上山ICから約20分にあります。最初のコーヒーの効き目が切れる前にマップを丸暗記できてしまい、それこそが狙い。残りの一日は、どのコースのどちらの端にいちばん柔らかい雪が残っているかを探る時間です。
スキー専用というルールがすべてを形作っています。フォールラインを横切って横滑りで停まっている集団も、パークのキッカーも、急斜面のど真ん中に座り込んでビンディングを直す人もいません。代わりにいるのは、ターンを磨くスキークラブ、孫に教えるおじいちゃんおばあちゃん、そして豪雪地帯の標高差170mの山がタイミング次第で最高になると密かに気づいている地元のスキーヤー。会費を取り忘れた会員制ラウンジのような雰囲気です。
弱点は規模。山頂の低い短いゲレンデなので、坂の上の蔵王温泉より雪が気温に左右されやすく、脚自慢なら昼までに滑る価値のある場所を全部周回してしまいます。食事は食堂の燃料で、麓に村はなく、あるのは駐車場とロッジだけです。
では誰が行くべきか。大きなリゾートが強風か大混雑の日に、安く静かな一日を過ごしたい山形や上山拠点のスキーヤー。ゆっくりしたリフトとボードのいない環境がいいと思う家族連れ。そして蔵王温泉の旅で気分を変えたい人。このレビューでは、このゲレンデの実際の姿と、旅程に入れる価値があるとき、ないときを紹介します。
スキー場データ
- 標高差170m(880m → 710m)
- 降雪量約8m
- コース比率 30% 50% 20%
- ツリーラン
- リフト券¥3,800
- リフトペアリフト2基
- 混雑度
- コース外滑走不可
- ナイター
- 家族向け
- コース数5
- 滑走エリア約10ha
- 雰囲気静か、ローカル、スキー専用
コースマップ
宿泊施設
地図で見るゲレンデに宿はないので、温泉と夕食の選択肢がもっといい拠点から車で通う計画を。王道は硫黄の香る坂の上のスキータウン、蔵王温泉。滑った後に浸かり、ブーツのままぶらぶらし、あまり計画しなくてもおいしく食べられます。歴史ある伝統的な旅館なら、町で名の知れた深山荘 高見屋。スキー旅行の段取りがシンプルなホテルタイプなら蔵王国際ホテルが手堅い選択です。
猿倉により近いのはかみのやま温泉で、これがかなり理にかなっています。山形新幹線沿いの静かな温泉町で、早寝、ゲレンデまで短いドライブ、夜更かしさせるスキータウンの喧騒もなし。ここなら葉山館がぴったり。バーではなくお風呂とお膳を中心にした、落ち着いた伝統的な温泉宿です。
山形のゲレンデをいくつか渡り歩くなら、実用的な拠点は山形市。温泉町と比べると趣はありませんが、食の選択肢はずっと多く、ホテルメトロポリタン山形は駅のすぐそばなので、予報がころころ変わっても立ち往生しません。
まだ拠点を迷っているなら、蔵王温泉の宿選びガイドで並べて比較できます。
パウダーとコース
エリア全体が標高710mから880mの間にあるので、長い一本の滑走ではなく、短くて正直な斜面の連続と考えましょう。寒波の日は朝イチのリフトに乗り、まず圧雪バーンを一、二本滑って雪を読むこと。ここは山脈の上のほうより気温による雪の密度の変化が大きいのです。勝負どころは冷たい寒波の日。人が少ないので、コースの端や林に縁取られた脇には朝遅くまで柔らかい雪が残り、降り続けばこんな小さな山でも想像以上の速さで雪が補充されます。いちばん急な斜面は平らになる前に短いフォールラインを楽しませてくれ、光がフラットになって大きなリゾートが強風で運休しているときは、コース脇の林が狙い目。ゲートシステムはなくコース外は禁止なので、勝負はコース内のストック探しです。限界は明らか。同じ数本のラインを何度も滑ることになるので、毎本新しい地形が欲しい人より、一本を磨き上げるのが好きなスキーヤー向けです。
アクセス
東京からの冬のいちばんスムーズなルートは、山形新幹線でかみのやま温泉駅か山形駅まで約2時間半。そこから猿倉までは車ですぐで、山形上山ICから約20分、山形市中心部から約30分です。最寄りの空港は山形と仙台で、たいていは仙台のほうが便がいいです。
直通の電車も専用のシャトルもないので、猿倉を柔軟な計画の一部にするならレンタカーが現実的。その柔軟さこそが魅力で、大きなリゾートで風が上部のリフトを止めたら、代わりにここでブーツを履けばいいのです。雪国のレンタカーはスタッドレスタイヤが標準ですが、大きな低気圧の予報ならチェーンも積み、大雪の後は除雪が追いつくまで最後の区間が圧雪でツルツルと覚悟して。ルールと落とし穴は冬のレンタカーと雪道運転ガイドで解説しています。
車がなければ、かみのやま温泉駅からタクシーが頼り。行けますが、日帰りにしては安くありません。
どんな人に向いている?
- 初めての人まずまず
- パウダー狙いまずまず
- 滑らない人いまひとつ
- 予算重視最高
- アクセスのしやすさいまひとつ
猿倉はまったく違う二つの層に向いています。ひとつは、混んだ週末の有名ゲレンデより寒波の日の静かな小さな山のほうがいいことをすでに知っていて、柔らかい雪を集めるために短い周回を繰り返すのが苦にならない、自信のあるスキーヤー。もうひとつは家族連れや不安な初心者。スノーボーダーはおらず、リフトは普通より少しゆっくり回っているそうで、そり専用エリアもあるので、スキーに飽きたちびっ子がコースを横切ってうろうろすることもありません。そんな仲間なら、小さな子ども連れにおすすめの日本のスキー場に同じタイプのアイデアがもっとあります。
スノーボーダーには当然お門違いで、続く急斜面、長い林、本格的なフリーライド環境が必要な人にも不向き。蔵王温泉の旅のメインディッシュではなく、穏やかで安い付け合わせと考えましょう。
グルメとアフタースキー
ゲレンデではカレーライス、ラーメン、うどんといった簡素なロッジ飯。体を温めてリフトに戻すための食堂のトレーで、燃料であってハイライトではないので、それ中心に一日を組まないこと。
おいしいものは坂の下に。山形は日本の食の静かな実力者で、牛肉、そば、そして寒い時期にはどこにでも登場する芋煮で有名です。上山には地元の飲食店や、ちゃんとした夕食を出してくれる温泉宿がいくつかあり、蔵王温泉なら温かいものをつまみながら腰を落ち着けられる小さな居酒屋など、選択肢が増えます。夜にいろいろ選びたいなら山形市がいちばん充実しています。
ここでのアフタースキーはバーではなくお風呂。浸かって、涼んで、また浸かって、早めに食べてぐっすり眠る。少しでもナイトライフが欲しいなら、上山ではなく山形市を拠点にしましょう。
Japow Travelのアドバイス
- 営業時間:日中は8:30ごろから夕方まで。ナイターは毎晩ではなく限定的で、貸切ナイターを受け付けていたこともあるので、夜の周回を予定するなら事前に確認を。
- シーズン:雪次第ですが、通常12月下旬から3月中旬まで。
- スキー専用:スノーボードは山のどこでも禁止。例外を期待して来ないこと。
- バックカントリー:ゲートなし、コース外は禁止。純粋なコース内の一日と考えましょう。もっと大きなことをするなら、まず日本のバックカントリー&サイドカントリーガイドを。
- 雪と天気:厳冬期の雪はたっぷりですが、標高が低いので雪質は気温次第。寒い日は最高、雨ギリギリの暖かい日はダメです。
- 雰囲気:シンプルなレイアウトの、静かな地元のゲレンデ。チケット窓口もアットホームです。
組み合わせたい近隣スキー場
相棒といえば蔵王温泉。地形はずっと広く、名物の樹氷と本物のスキータウンがあります。蔵王ライザワールドは山脈の同じ側にあり、長いドライブなしにより大きなゲレンデを楽しめます。さらに遠くまで足を延ばすなら、南東北の温泉と樹氷周遊でこれらをつなぐドライブ旅を紹介しています。
結論:蔵王温泉の静かなお隣さん
蔵王猿倉が誰かの旅の主役になることはないでしょうし、その必要もありません。リフトは急がず、混雑はほぼ存在せず、冷たい寒波の後には探す人のためにコースの端に柔らかい雪が残っている、小さくて安いスキー専用ゲレンデです。脚自慢は午前中で制覇し、家族連れは喜んで一日過ごすでしょう。蔵王温泉や上山の旅で、上で風が吠えている日のために組み込めば、穏やかで気楽なターンでしっかり恩返ししてくれます。
