
岩手県北の隠れた実力派
奥中山高原は、岩手県北の人たちがこっそり楽しんでいるスキー場です。盛岡から国道4号を1時間北上した一戸町の高原にあり、浴場2つの温泉、10室のホテル、テレインパーク、ジェラートカウンターを、スキーブーツのまま歩いて回れるベースエリアに詰め込んでいます。最後の1本のあとにジェラートを頼めば、吹雪の中でアイスを食べている県内唯一の人になれるはず。ちょっとした達成感があります。
滑りごたえは知名度以上です。コース11本、標高差368m、そして約2kmのロングコースが2本。客層は地元の家族連れや学校団体が中心で、平日ならコースを丸ごと独り占めできることも。弱点は規模と洗練度。施設は豪華というより実用的で、1〜2日で端から端まで滑れば、だいたい見尽くしてしまいます。
このレビューでは、山の滑り心地、どんな人に向いているか、岩手を巡る旅への組み込み方を紹介します。
スキー場データ
- 標高差368m(1018m → 650m)
- 降雪量約8m
- コース比率 30% 40% 30%
- ツリーラン
- リフト券¥4,200
- リフト5基(第1リフトは年末年始のみ運行)
- 混雑度
- コース外滑走不可
- ナイター
- 家族向け
- コース数11
- 滑走エリア約60ha
- 雰囲気控えめ、ローカル、雪が主役
コースマップ
宿泊施設
地図で見るいちばん手軽なのは、ベースにあるスキー場直営の奥中山高原のホテル。洋室と和室あわせて10室の小さな宿で、少しレトロな雰囲気、温泉は2つとも階下にあります。ほとんどのプランが夕朝食付きで、部屋からはゲレンデが目の前。早寝して朝イチのリフトに乗りたくなる宿です。
ホテルが満室なら、北の一戸や二戸に、車で30分ほどの範囲でシンプルな旅館やビジネスホテルがあります。夜遊びは期待できませんが、駐車場、コンビニ、早い朝食はそろっています。家族経営の小さな宿については民宿ガイドをどうぞ。
街に泊まるなら、南へ約1時間の盛岡。スキーのあとに飲食店や居酒屋を楽しみたい人、ほかの日に安比高原、雫石スキー場、八幡平リゾートも滑りたい人向きです。駅近くのビジネスホテルなら、レンタカーの受け取りや新幹線の利用も簡単です。
パウダーとコース
まずは数字から。リフトは西岳の肩、標高1,018mまで上がり、ベースは650m。11本のコースを合わせると約10kmになります。コース配分はおおよそ上級3、中級4、初級3で、申し訳程度の黒が1本だけある初心者ゲレンデではありません。最大斜度はつばめとやまばとの約30度で、ぶなの木は短くても急な、完全な上級コースです。
覚えておきたいのはロングコース。やまびこと西岳はどちらも約2kmで、急な上部から長いクルージングの下部へと続きます。はやぶさも1.2km、ほとんどが上級者向けの斜面です。初心者はベース近くの斜度10度のビギナーとこぐまで、ステップアップはなだらかなかもしかへ。シーズン中はほぼ4基のリフトが動き、年末年始は5基目が加わります。
地味な強みは雪質です。内陸の高い高原なので雪雲は冷たく乾いたまま届き、日陰になる上部のコースは降雪後も新雪がよく残ります。降雪日はコースの端がまだ柔らかいうちに上部のリフトから攻め、光がフラットになってきたら下へ移りましょう。
場内にはコースマップに載っているツリーランエリアがあります。入る前に掲示されたルールを読みましょう。それ以外の林の中、リフト下も含めて滑走は禁止で、境界は厳しく管理されています。スノーパークは例年1月中旬からオープンし、キッカー、レール、ボックスがそろいます。ベース近くのキッズ向けスノーエリアでは、小さな子どもたちも飽きずに遊べます。
アクセス
車:盛岡など南からは東北自動車道の滝沢ICで降り、国道4号を北へ約50分。八戸など北からは、八戸自動車道の一戸ICからスキー場まで南へ約40分です。スタッドレスタイヤは必須。開けた高原の道は強風で吹きだまりができることがあるので、雪の日は時間に余裕を持って。
電車:東北新幹線で東京から盛岡まで約2時間半、そこからIGRいわて銀河鉄道で北へ約40分で奥中山高原駅。ゲレンデまでは最後の10分をバスで移動します。いわて沼宮内駅に停まる新幹線もあり、その場合は在来線区間が約10分に縮まります。
無料送迎バス:スキー場が一戸町と隣の岩手町を回る無料バスを運行しています。前日の午後5時までに電話予約が必要です。
最寄り空港:いわて花巻空港から車で約2時間です。
車か公共交通機関か迷ったら、スキー旅行の移動ガイドを参考にしてください。
どんな人に向いている?
- 初めての人まずまず
- パウダー狙いまずまず
- 予算重視良い
奥中山高原は、混雑のストレスなしに変化のあるしっかりしたコースを滑りたい中級者、温泉・ホテル・ランチがすべてリフトから歩いてすぐなのがうれしい家族連れ、そして大きなスキー場の合間に静かで安い一日を挟みたいドライブ旅にぴったりです。上級者も、特に新雪のあとなら一日楽しめる斜度はありますが、1週間分はありません。リフトで行くサイドカントリーや大きなリゾートの賑わいが欲しいなら、安比高原を拠点にしてここへは日帰りで。
グルメとアフタースキー
ランチはベースのレストランはらへった亭もぐもぐで。ラーメン、カレー、丼ものと、ゲレンデ飯の定番がそろっています。お手頃でリフトからも近いです。
奥中山高原の午後のハイライトは、リフトが止まってから。ベースには温泉が2つあり、源泉かけ流しと露天風呂のあさあけの湯、サウナと水風呂、薬湯のきらぼしの湯が並びます。さらにジェラートカウンターゆきあかりも。寒い一日の終わりにアイスなんて、と思うかもしれませんが、湯上がりに食べれば納得です。
シーズン券があれば入浴は半額、ジェラートも割引になります。東北の田舎を食べ歩くヒントはスキー場グルメガイドをどうぞ。
Japow Travelのアドバイス
営業時間:平日8:40〜16:20、土日祝8:30〜16:30。土日祝は1.5kmのコースで16:00〜20:00にナイターもあります。シーズンは例年12月中旬から3月下旬まで。
リフト券:大人1日券は平日¥3,800、土日祝¥4,200で、年末年始も土日料金です。未就学児は保護者同伴で無料。午前券、午後券、5時間券、ナイター券もあります。
バックカントリー:認められたエリアはありません。境界の内側にとどまり、代わりに指定のツリーランエリアを使いましょう。
天候:高原は寒く、風をまともに受けます。上部のリフトは強風、行きの道は地吹雪を覚悟して。寒冷前線が抜けたあとの穏やかな日が本領発揮です。
星空:近くに一戸町観光天文台があります。高原の冬の夜は寒く澄んでいるので、泊まるならのぞいてみる価値ありです。
組み合わせたい近くのスキー場:大きな圧雪バーンと標高差なら安比高原、下倉のツリーゾーンなら八幡平リゾート、岩手山を望むロングコースなら雫石スキー場、東の静かな白樺林で一日過ごすなら平庭高原。
総評:過小評価された日帰りスキー場
奥中山高原は有名スキー場ランキングの上位には入りませんし、入る必要もありません。知名度以上の標高差とロングコース、高原の冷たい雪、週末のナイター、そしてベースで温泉とジェラートの締め。岩手のドライブ旅に組み込み、寒冷前線の翌日を狙えば、ロングコースもツリーエリアも温泉も、ほぼ貸し切り状態で楽しめます。
